和泉チャイルド幼稚園 園長 堀内 由利 |
「年長の時のお泊まり保育で、体験をした天体望遠鏡……あのときはそれほどおもしろいと思わなかったけれど、30歳になって自分の子どもや友だちの家族と七夕の天の川、夏の星座、お月見の満月など庭に寝ころがって見上げる楽しみを知るようになった。雨の日は、レインコートと長靴でわざと水たまりに入り、雨の音を感じながら、子ども以上にはしゃいでこけそうになった。雪の日は黒いセーターの上に六角形の『雪印』となってぶら下がる本物の雪の結晶に驚いた。遊び心を全開に感動の声で笑い転げる自分の中の子どもらしさをこのまま持ち続けたいと思った。
やがて私はボランティアとして出前プラネタリウムでいろんな地域の子どもやおとなたちと遊び心を確かめる日々を過ごすようになった。あのお泊まり保育の天体望遠鏡の『体験の種』がこんなに素敵な“華”となって咲くとは思いもしなかった。」親友の娘のエピソードです。
2019.12月号 にこにこ新聞掲載
「おとなになると、季節を感じることを忘れそうになる」とつぶやく友人がいます。もちろん、大人になって日暮れの時間がかわることも風が冷たくなることも知っている。衣替えだって忘れない。
私は仕事柄、ありがたいことに園児たちの遊びに誘われ、空を泳ぐこいのぼりや朝顔の色水、稲穂や落ち葉あつめなど、子どもたちとともに季節の体験ができるのです。そこには子どもたちの笑顔やはじける声が耳にとびこみ、互いに触れ合う瞬間があります。そしてこの瞬間こそが「季節を感じる」ということであり、かけがえのないものだと友人のつぶやきを振り返り私が気づかされたことです。
どれほど時代が変わっても子どもも大人も笑顔を確かめながらいっしょに季節を感じることを大切にしたいものです。
2019.11月号 にこにこ新聞掲載
これからの社会では、一人ひとりが自主性と主体性をもち、自立した豊かな個性を活かしながら、周りに貢献できる人材(財)としてのおとなが必要とされます。
どれほどAIやICTの技術が進んでも、生きていくのは人であり、人と人とのつながりが大切です。自分の想いと考えをしっかり持ちながら相手を受け入れつつ、より良い方向性を見出していく力が大切です。
これからの社会は、天候や自然現象・災害の大きさなど、予想のつかない状況の連続だと予想されます。そんな中で『人が人らしく生きる』ためには、友だちとの関わり、心の通わせあいなど遊びの中でしか見出せない喜びや葛藤が土台となり、生きる力となります。「保育者(おとな)主導」ではなく、「こども主体」で自己発揮ができる機会と環境をできるだけ整えることが、おとなに求められている使命であると思います。
2019.10月号 にこにこ新聞掲載