ロジャーズ氏は、著書『ジム・ロジャーズ大予測 激変する世界の見方』でコロナ危機については「過剰に反応し過ぎている」としながらも、人々は実際に「恐怖」に支配されてしまっており、世界経済はパニック的な大混乱に陥っているのは事実だと述べています。「おそらく、株価の値下がりは今後も続く。いずれ金融機関の破綻をもたらし金融システム不安を引き起こす。いつとは断言できないが、それは必ず起こる」。ロジャーズ氏は次の金融危機が過去最悪になる理由として、世界中の国が非常に大きな債務を抱えている問題を指摘。リーマン・ショックの時は中国がキャッシュを抱えており、それによって危機を脱出することができました。しかしその中国も今では大きな債務を抱えています。
「中央銀行も無限に債務を増やし続けることはできない。いつの日か終わりが来る。ある日突然、相場参加者のモメントが変わるときが必ずやって来る。その局面では、もはや誰も世界経済を救うことはできない。次の危機はそうした最悪の危機になると見ている」。
空前の危機にあって、個人投資家はどのような行動をするべきでしょうか。皆が、長期投資をして株式インデックスの積立をし続ければ放ったらかしでもお金持ちになるという時代はコロナ前の常識でした。仮にこの上昇相場が当面の間続いたとしても、実体経済の悪化から金融危機が引き起こればとんでもないクライシスに繋がる可能性もあります。十分に注意をしながら慎重に投資対象を選び、相場を注意深く監視する必要がありそうです。
にこにこ新聞 6月号掲載
『ジム・ロジャーズ大予測! 激変する世界の見方』をわかりやすく解説! 動画はこちら
新型肺炎が世界中で爆発的に増大し、各国が金融政策とともに大幅な財政政策を出しています、安倍首相は108兆円規模の緊急対策を実施すると表明し、感染が深刻なアメリカでは日本円でおよそ220兆円の景気刺激策が決まり、シンガポールでは約4兆5600億円に及ぶ予算をつけており、約570万人の人口から考えると巨大な金額です。(4月7日現在)
シンガポールでは日本の消費税に似た物品・サービス税の引き上げ計画に関しても21年は実施しない予定です。観光など新型肺炎の打撃を受ける業界の税優遇などの景気対策も同時に発表し、経済の減速を全力で防ごうとしています。
これに対して、昨年10月に消費増税をした日本経済は新型肺炎前に既に大打撃を受けています。2月17日には日本の2019年10-12月期のGDP(国内総生産)が前の3ヶ月と比べて実質マイナス1.6%、年率に換算してマイナス6.3%となりました。
消費増税で痛んでいる経済に対して新型肺炎が襲い、まさに泣きっ面に蜂と言えます。日本政府もシンガポール政府を見習い、景気刺激策を打ち出さないと経営難に陥る企業も増え、多くの労働者も失業するかもしれません。
家計ができる対策としては、半年分の生活費を普通預金など換金しやすい方法で確保しておくことです。このウィルスの影響は予想以上に長引く可能性もあるからです。収入はできる限り大切に使い、無駄遣いをしないことが大切です。また、夏のボーナス払いは控えるようにしたいものです。業績に左右されやすい賞与は固定給と比べると変動を受けやすいからです。
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にこにこ新聞 5月号掲載