福をもたらす石を祀る

多治速比売命(たじはやひめのみこと)を主神として、スサノオノミコトや、学問の神様として知られている菅原道真公を併祀りしており、
安産祈願、良縁成就、厄除け祈願を求めて、遠方から訪れる人も多くいる有名な神社です。
最近では、レースのお守りや桜の花をかたどった「さくらみくじ」が販売されていて、若年層には写真映えスポットとしても知られています。


西暦580年ごろに御創建とされ、天文10年に再建されたとされた本殿は、国の重要文化財に指定されていおり、安土桃山時代の建造物として大変貴重です。(見学はご予約が必要です。)

多治速比売神社の境内には、福石神という石が祀られています。

一見、三重県の夫婦岩のように見えますね(^▽^)
この石には、こんな面白い昔話があるのです。
福石神の言い伝え
ー むかしむかし、仲がとても良いお百姓の夫婦がおりました。
2人は働き者で、どこの百姓の家よりもお米を収穫していたのですが、家に貧乏神が住み着いていたために、暮らしはまったく楽になりませんでした。
ある日、2人は貧乏神に家から出ていくように頼むも、「阿呆抜かせ。昔から住み着いている儂に何を言うか。これだけ米があるのに出ていくわけがなかろう。」と聞き入ってくれず。ついに力づくで追い出そうとしましたが、米をたらふく食べた貧乏神は丸々と太っていて、力では到底かないません。
そこで女房は、着ていた着物を脱ぎ、色鮮やかな波模様の腰ひもを貧乏神の前に突き出しました。
貧乏神は女房の色気に思わず目がくらんでしまったのか、力が抜けてしまったのです。
その隙に、2人は貧乏神を取り押さえます。
身動きの取れなくなった貧乏神は「儂は好きで貧乏神に生まれたくなかった。次は福の神となって生まれ変わろう。ほなさいなら」と言い残し、丸い石となって消えてしまいました。
その石を福石として祀った百姓の夫婦は、村一番の億万長者に◝(⁰▿⁰)◜
「私らだけが良い思いするのはもったいない」と福石神を多治速比売神社に寄進したということです。
それからこの福石神は、五穀豊穣や、商売繁盛にもご利益をもたらすものとなりました。
貧乏神が少し不憫に感じるお話ではありますが、石として福の神に生まれ変われてよかったですね^^
多治速比売神社は、2月から4月上旬、梅林の梅が見頃を迎え、多くの花見客が訪れます。四季折々の美しい景色と共に境内を巡ってみてはいかがでしょうか?
(担当:K)
(2025年2月号メルマガ掲載)
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