山の神が息づく聖域
和歌山県有田川町、生石ヶ峰の中腹、険しい山中にひっそりと鎮座する「生石神社(しょうせきじんじゃ)」。
一歩足を踏み入れると、澄んだ空気の中に古代から続く神聖な雰囲気が漂い、優しく静かなエネルギーが心を包み込んでいきます。それはまるで不思議な空間へ誘われるような感覚に似ています。
神社の創建は古く、平安時代の永祚(えいそ)元年頃だと伝えられています。
御神体は、社殿の背後に聳え立つ高さ30m以上の巨石で、一夜にしてこの地に出現したという伝説が語り継がれています。
▲御神体(巨石)は、夫婦岩のようになっています。
社伝によれば、この地に鎮まる生石山自体が神様が宿る霊山として尊ばれ、自然崇拝の信仰が始まったとされています。そのため、古来の人々はこの石に宿る霊力を信じ、「生命の石」として崇めてきました。
「生石」を「生きる石」と書くように、自然の中に宿るエネルギーを象徴するものなのかもしれません。
実際に周辺には、巨石が点在しており、古代の磐座信仰を今に伝える姿が残っています。
御祭神は、大穴牟遲命(おおなむちのみこと)と少名彦命(すくなひこなのみこと)。
ともに国造り、医療、生命の神として知られ、安産、子孫繁栄、健康長寿のご利益があると伝えられています。古くは、「婦人は難産なく子孫繁栄を誓ふ」との神託も残り、今も多くの人々が祈りを捧げに訪れています。
和歌山県の天然記念物に指定されているアカガシを中心とした深い原生林に包み込まれるように覆われている神社は、とても神秘的な美しさを放ち、まるで時の流れが止まっているような静けさと懐かしさを感じます。
耳を澄ますと、鳥のさえずりや風の音、そして大地の鼓動が聞こえてくるようで、それらがひとつに溶け合い、「生物・自然・神が共存している」ということを知らせてくれているようです。
また、生石神社から山頂を目指した所には、絶景が広がるパワースポットとしても有名な「関西のスイス」とも呼ばれていてる「生石高原」があります。
▲神々しい「天使の梯子」が現れた生石高原
和歌山県の朝日・夕焼け百選にも選ばれている生石高原。
秋はススキの大草原が広がり、息を吞むような美しさで圧巻!夕暮れ時の一面が黄金色に染まる様子は幻想的で素晴らしい景観となります。
神社参拝と一緒に自然との一体感を感じるパワースポットで、心のお洗濯はいかがでしょうか?
生石神社
和歌山県有田郡有田川町楠本1265
和歌山県有田郡有田川町楠本1265