学校法人大阪初芝学園 はつしば学園小学校 校長 加藤 武志 |
子どもが成長するということは親から離れ自立していくことですが、この親離れを、決して急いではなりません。
子どもは本来、母親に対する鋭い感受性を持っています。衣食住の生活欲求にもまして、触れ合い、眼差し、微笑み、語りかけというスキンシップとコミュニケーションによって充たされるものです。子どもは愛されることを確認することによって、自信を得、頭・心・体がフル活動し、周りの環境を丸ごと吸収し、人格を形成していくのです。
親の愛情を充分に受けて育った子は成長と共に他人を信じ、社会を信じ、人間交流に積極的な、行動力のある明るい人格が育ちます。その結果、親離れや自立が早く進むのです。親が子にするべきことは、子どもの信頼を得ること。そして、いつでも帰ることのできる故郷となり、愛情溢れる存在になることです。どうぞ、子育てを楽しみましょう。
2019.3月号 にこにこ新聞掲載
保護者から「うちの子は、勉強したがらないんです」と聞くことがあります。その時私は(本当は、子どもはもっと賢くなりたいんだけど…思っている。)と伝えたくなります。
生来子どもは、賢くなりたいと思っているのです。その証拠に、生まれて半年余りの子が目に映るもの全てを口に入れるのを見たことがあると思います。「これは何?確かめたい」との思いに駆られてする行動です。好奇心旺盛であることの表れでもあります。
子どもが勉強をしたがらない本当の理由は、実は保護者からの過度な期待が影響しているのです。期待の裏返しは絶望です。そのことで保護者がかける言葉は「どうしてできないの」などのマイナス言葉でしかありません。勉強すればするほど、親の期待は高くなり、プラスの言葉はいつまでも出ません。自分の、子どものあるがままを認めることから始めましょう。
2019.2月号 にこにこ新聞掲載
子育てにおいて親が子どもに願う事は、将来、どのような社会に進もうとも自らを見失うことなく、誰とでも協調できる、人間的に魅力のある人になることです。つまり「自立」することでしょう。その過程で大事なのは、父母の両性によって育てられなければならないということです。父母がそれぞれの立場を踏まえた関わりをすることが肝要です。中でも、父親の関わりがその後の子どもの育ちを大きく左右すると思います。父親は社会性という外向的な発達に果たす役割が非常に大きいからです。父親の権威、威厳は、子どもの幼少期の頃の脳裏に焼き付いた父の姿であり、生き様でもあります。人間として尊敬できる父親像を心がけましょう。
2019.1月号 にこにこ新聞掲載