岸和田いずみ幼稚園 園長 阪口 登志子 |
『思いやりの心を通わせる』ということ
春は出会いや別れの季節です。本園では3月に卒園を控えた年長児がお家の人とメッセージを交換します。お家の人のメッセージには、「毎日、頑張って幼稚園に通ったね」「生まれてきてくれてありがとう。大好きだよ」とあり、子ども達を思いやる気持ちが溢れています。子ども達の傍らには信頼できる大人の存在があることを強く感じます。子ども達からは「おいしいご飯をありがとう」「毎日送ってくれてありがとう」という感謝のことばがあります。幼い子ども達が人の優しさや思いやりを理解し、感謝できることは心の成長の証です。何気なく見ていた日常の出来事を、心を許す大切な人と語れることは子どもの喜びです。心を許す人とは、幼稚園の仲間であり先生であり、お家の人です。気持ちが共有できる人との関わりが『新しい事象に気づく心』を豊かにし、思いやる心を育てます。教育は人と人をつなぎ、平和な世界を作り上げて行きます。
2020.4月号 にこにこ新聞掲載
同じ道を歩いた先に得られるもの
「友情」「協力」「仲間」「希望」「きずな」は友達や人とのつながりを大切に思う言葉です。この言葉は目に見える形がありません。子ども達は幼稚園での色々な遊びや体験を通して、この言葉の意味を知ることができます。
年長組は2月の音楽会のプログラムの最後に全員で歌を歌います。この歌は年中組から練習を始め、1年間を通して色々な場面で発表しています。友達と呼吸をあわせて丁寧に歌詞を歌い、糸を紡いで布を織るように一人一人が努力をしてきました。気持ちを一つにする喜びや、友達と同じ道を歩く楽しさがあります。幼稚園では子ども達のできることをたくさん探し、困難に出会った時、出来ないという思いから解かれる言葉をかけていきます。
このような体験を重ね、子ども達は目には見えない言葉の意味を獲得し、「できる」という気持ちや「諦めない」という強い心を育てていきます。
2020.3月号 にこにこ新聞掲載
遊びの中にある学び
幼稚園では遊びの中にたくさんの学びがあります。泣いている友達に「どうしたの」と声をかけ、言葉で思いを伝えます。運動会の練習では「暑かったけど頑張ったわ」と同じ気持ちを共有し、良好な人間関係が育ちます。「仲間っていいな」「友達っていいな」と子ども自身が思える場面です。子ども達が思ったことや気づいたことはすべて学びとなります。教師はその瞬間を見逃さずに共感し、子ども達の自己肯定感へとつなげます。共感することは、ほめることや認めることに結びつきます。
本園では、ほめて伸ばすという教育理念を大切にしています。子ども達に「皆さんには人を喜ばせる力があります。元気に『行ってきます』と言うことも、『ありがとう』と伝えることも、相手を喜ばせます。」と話します。子ども達は自信を持ちます。周囲の温かい眼差しや信頼を受け、頑張る力を身に付けて、人に優しくできる姿へと成長していきます。
2020.2月号 にこにこ新聞掲載